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トッシー先生のユルツェン『ルル』鑑賞ツアー同行記 (その6)


 この旅行もいよいよ今日の自由行動日を残すのみとなった。全日程の天候は恵まれていた。小雨が降ったときもあったがたいした降りにはならなかった。冬の寒さを予想していたが凍り付くほどのこともなかった。メンバーはみんな旅慣れているね〜。ハンブルクからブレーメンに旅したグループもあり、一人で博物館巡りをした人もあり各自いろいろなことをしていたようだ。私?わたしゃ朝からホームページの報告に精を出していたよ。こう見えても日本に帰りゃ、柿の木の世話もあるしポチも待ってるほど忙しいんだよ。
 そうだ、喫煙に関する最近のヨーロッパ事情をお知らせしておこう。すでに、この地球上でタバコを吸っている輩(やから)は悪人か、ならずもののように思われているようだ。レストランは全く禁煙になった。その反面、歩きタバコは結構目に付いた。タバコの箱には「Rauchen kann tötlich sein」喫煙は死に至らしめる、「Rauchen kann Ihr ungeborenes Kind töten」喫煙はまだ生まれてこない子供を殺す、などと恐ろしい事が書いてある。わたしゃ、こんな世論にも負けずかなりのヘビースモーカーだ。しかし旅行するときは喫煙所を探すのに苦労する。タバコが吸いたいのに吸えない状況に自分を置くのが煩わしいので、最近は旅立つその日の朝からぷっつりと止めるのだ。出かける前に1本吸ってから・・・というのがいけない。今回もその方式で旅立った。たばこを止めるとタバコの匂いに敏感となる。吸っている人を見ると早く止めればいいのにと、勝手な心配をする。去年の10日あまりのヨーロッパ旅行ではこれがうまくいった。今回もうまくいくだろう。・・・ところがである。事件が起こった。いずれまたの機会にこの話をしよう。


オペラ『ルル』鑑賞の旅(2014年11月7日~11月14日)


ハンブルク自由行動編その2


その6 ハンブルク自由行動その2

自由行動
 人生で一番幸せに感じるときはどんなとき?と聞かれたら、わたしゃ真っ先にこう言うね。「眠いときに眠れること」、それも「世の中の人が忙しく立ち働いているとき」というひねくれた条件が付く。ふとんにくるまってだんだん身体がぽかぽかしてくるときのあの快感。「至福のとき」とはこのことだろうと思いながらウトウトする。
そんな時間を今日の我が自由行動の時間にしたんだね。寝ることを行動と言うかどうかはわかんないけど、これが本当の自由の行動だったんだよ。他のメンバーが忙しく飛び歩いている間のことだから、なおさら幸せだったね。
 夕方になって意識がはっきりしてきた。そうだ、なんかしないとこのページが報告することが無くなってしまう。そこで考えた。音楽会に行こうと。調べてみるとピアノの演奏会がミヒャエル教会で20:15から行われる。日本を出る前にこの演奏会の案内は頭の隅にあった。同好の士を募ったら2人が名乗りを上げた。この演奏会も当日券で入場した。


当夜のプログラム


Kryptaとは地下納骨所のこと。「納骨所演奏会」・・・怪しげな命名だが致し方ない。正に礼拝堂の1階下にある天井が低い空間である。ここには床に遺体が埋葬されている。これは教会によくある構造だ。クーラウも死後1年間デンマークの聖ペトリ教会の地階の納骨所に安置されていた。ここは天井が低い。頭をぶつけそうだ。こんなところで演奏会が行われるとは!!!

ミヒャエル教会 ミヒャエル教会入り口
巨大オルガン サイドの小オルガン
今日のピアニスト、アンナ=マリヤ・マルコヴィーナさん 演奏前に解説
E. Bachのソナタ ハ短調 Wq. 63-6の譜面 休憩時間だから写真が撮れた
お棺が置かれている 見よ、この床を!バラの花が!
エマヌエル・バッハのお墓だ! Ruhe Kammer (墓)
Carl Philipp Emanuel Bachと彫られている
終演後の検分 アンコールに1曲
こんな彫刻も展示 キリストの磔

 アンナ=マリヤ・マルコヴィーナさんの演奏はこの旅の最高の思い出となったほど素晴らしいものだった。プログラムの中心はエマヌエル・バッハの作品だったが、音の陰影が見事。エマヌエル・バッハのロマンティシズムが汪溢していた。天井が低いことは演奏効果に関係が無いことを実証した。


帰り道(遊園地DOM)

教会を出ると観覧車が 光に誘われて
ここはDOMという遊園地 お化け屋敷もメリーゴーランドもあるよ

トッシー先生の6日目のエピローグ:
 日本で演奏会場というと四角い箱の中にステージが置かれているものが殆どだ。演奏する者と聴衆が厳然と分離されている。しかし、ヨーロッパの場合、オペラ劇場は別にしてこのような会場は少ないね。そのため教会、博物館、公共の建物、応接間(サロン)などが利用されるんだよ。これは石造りで反響が充分得られることに理由がある。どんな場所でも演奏する者と聴衆が一体となり音楽を享受するという心構えも違うのだろうね。初期のベルリンフィルの会場がスケートリンクだったなんて事もあったよ。
 それにしても日本では演奏会場を確保するのが大変だね。能楽堂、お寺、博物館などでも行う場合があるが音響に苦労する。野外も良いけど天候に左右される。
 そこでわたしゃ考えたね。もしかしたら銭湯がいいかもって・・。お風呂場で鼻歌を歌うと気持ちいいからね。みんな裸になって、お湯にひたってるところに良い音楽が流れてくるなんて最高だね〜。

 いよいよ明日は日本に帰る日となった。 噴火や地震があるとヨーロッパの友人には「日本はまだ海に浮いてます。ご安心下さい。」なんて手紙を出すけど・・・。


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