-

トッシー先生のユルツェン『ルル』鑑賞ツアー同行記 (その2)


 今日は2日目、明日の教会コンサートのための練習が午前中に行われる。時差にもめげず一行は燃えているね。ホテル玄関に練習開始15分前には集合して、全員で出発。歩いて5分もかからないのにこの意気込みは賞賛に値するね。前日にローマからユルツェン入りしたジネーヴラ・ペトルッチさんとイスタンブールからの浅野麻耶さんも一緒。ニュルンベルクから齋藤夫妻も到着、今回の演奏会をコーディネイトしてくれたビルテ・エバーマンさんも我々を待っていてくれた。練習場所は聖マリア教会のすぐ側のマルティン・ルーテル・ハウス。グランドピアノ、譜面台も揃っている。10:00~13:00の練習後、各自譜面台を手に持って教会に移動、明日の会場の下見を兼ね教会内の演奏場所を決める。


オペラ『ルル』鑑賞の旅(2014年11月7日~11月14日)


ユルツェン編


その2 ユルツェン

10:00〜13:00 マルティン・ルーテル・ハウスにて教会コンサートの練習

9時45分前、ホテル玄関に集合 ぞくぞく
遠方の右側の建物がマルティン・ルーテル・ハウス すでにもう何人かが・・・
ニュルンベルクの齋藤ご夫妻も到着 教会コンサートの協力者・ビルテ・エバーマン女史
練習開始 『ルル』ファンタジー
ジネーヴラ・ペトルッチさん 斉藤宏愛氏

教会コンサートのチラシが・・・ オペラ『ルル』のプラカードが・・・
聖マリア教会の尖塔 聖マリア教会の側面
   
礼拝堂 明日のコンサートのため下見
教会コンサート関係者

16:00より行われるイルメナウ劇場における『ルル』のゲネプロの立ち会いを望んだところ、了解を得ることができたのでみんなで見に行くこととなった。ただし、通し稽古でなく部分敵な場当たりであったが、今晩の演奏の予備知識を得ることができた。
第1幕の紗幕(全面に村人が現れトラが来たという場面を歌う。紗幕の裏には合唱団が立つ)
場当たり 合唱
指揮者、プロデューサーのヴェルナー・ザイツァーさん ヴェラ:アントニア・ラトネヴァ。シディ:イヴォンヌ・プレトキ
バルカ:ヤン・クリストフ・シュリープ 合唱団の日本人:角田 鋼亮(つのだこうすけ)さん
『ルル』の笛:ララ・ヒュッテマン(クーラウ・コンクール優勝者) ルル:コンスタンティノス・クリロモノス

18:15 ウーテ・ランゲ=ブラッハマン女史のオペラ『ルル』の事前レクチャー(イルメナウ劇場)

 ゲネプロが終わったのかはっきり分からないうちに斜幕の後ろでは合唱団の発声練習がおこなわれていた。演出だったのか、ウーテさんが現れ「お話し」が始まった。30分ちかい話でそもそもこの公演が行われるようになった経緯からクーラウの生涯、クーラウの音楽史的位置、クーラウのオペラ作品について、『ルル』の過去の上演に関しての中でIFKSの2000年演奏会形式、2005年のオペラ上演について言及があり、今回の上演に日本から23名のIFKSの会員がこの会場にいることが紹介され、(拍手がわき起こり)管理人は一番前に座っていたので立ち上がりすでに入場しているお客様に向かい頭を下げていた。最後に『ルル』のあらすじで「お話し」が終わった。かなり早口で聞き取りにくかったが、ウーテさんの原稿から紹介しよう。

 

Meine Damen und Herren,

es ist geschafft ! Nach fast fünfzehn Jahren Bemühungen können wir heute in Uelzen Friedrich Kuhlaus Oper „Lulu“ erleben! Ich habe diese ganze lange Zeit immer wieder mit Opernhäusern, Musikhochschulen, Rundfunkorchestern und dem Theater für Niedersachsen verhandelt – und hatte eigentlich die Hoffnung inzwischen aufgegeben.
Überall war das Interesse wohl da, aber für Musikhochschulen ist der gewaltige Aufwand für diese Oper zu hoch, für Rundfunkorchester lohnt es sich nur, wenn eine Aufnahme gemacht werden kann, aber es gibt ja schon die qualitätvolle Schönwandt-Aufnahme, Opernhäuser schrecken zurück, weil die Oper unbekannt ist und das Theater für Niedersachsen hatte natürlich Bedenken wegen der hohen Kosten. Wenn Sie sich nachher das Programmheft anschauen, achten Sie bitte auf die unglaubliche Anzahl der Sponsoren, die darauf aufgeführt sind!

Mein großer Dank gilt Werner Seitzer, der trotz aller Hindernisse dieses große Projekt in Angriff genommen hat, weil dessen Reiz ihn wohl nicht losgelassen hat.  Dass er nach einigen Termin Hin-und-Herschiebungen auch noch bereit war, die Premiere in Uelzen über die Bühne gehen zu lassen, ist das Sahnehäubchen für unsere Stadt. Ich glaube, Friedrich Kuhlau wäre sehr zufrieden!

-------

Die Oper wurde nach langer Zeit 1986 in Kopenhagen, 1999 in Darmstadt und 2000 in Tokio konzertant aufgeführt, 2005 dort sogar als szenische Produktion, organisiert von der International Friedrich Kuhlau Society, von der 23 Mitglieder extra zur Aufführung von Lulu heute nach Uelzen gereist sind!

-------

親愛なる紳士、淑女の皆様
 15年間の努力によりユルツェンでフリードリヒ・クーラウのオペラ『ルル』の上演がついに行われることになりました。この永い期間、私はオペラ劇場、音楽学校、放送交響楽団、ニーダーザクセン劇場などに上演の交渉をしましたが、いずれも難しかったのです。皆、興味を持ってくれましたが音楽学校にとってはこの上演はあまりに高度で難しいものでしたし、放送局交響楽団は今までこの演奏が行われていなかった場合は取り上げるが、すでに上質のシェーンヴァントの録音があるのでこれもダメ、オペラ劇場は知られていないオペラ上演に恐れをなし、ニーダーザクセン州も費用がかかることで難しかったのです。お手持ちのプログラムをご覧になれば驚くべくほど沢山のスポンサーが名前を連ねているのがお分かりになるでしょう。ヴェルナー・ザイツァー氏がこの難しい大プロジェクトを引き受けて下さったことは感謝に堪えません。その他の場所でもこのオペラは上演されることになっていますが、その最初の公演を私たちの町、ユルツェンと決めて下さったことは嬉しいことです。フリードリヒ・クーラウが大変満足してくれているものと私は信じます。

〜中略〜

 クーラウは1825年に『ルル』のドイツ語翻訳をアブラハムスに自費で依頼しました。パリで2度も上演の話がありましたが、実現しませんでした。このオペラは 1986年にコペンハーゲンで演奏された後1999年にダルムシュタットで、インターナショナル・フリードリヒ・クーラウ協会によって2000年に演奏会形式で東京で、そして2005年に正式のオペラで上演されました。その内の23名の会員の方が本日ここにお見えになっています。(拍手起きる)

〜後略〜


19:00 オペラ『ルル』開演

この上演は録画されたので出来上がり次第IFKSに送ってくれる事になっています。いずれ何らかの形でご紹介します。
以下は当日のプログラム。

ドイツ公演のプラカードイラスト

22:00 終演後レセプション(劇場地階)

関係者の集まり ドンボア教授もデトモルトから

トッシー先生の2日目のエピローグ:
 いや〜、今日の『ルル』を聴いての感想は今すぐには書き表すことは難しいね。演奏会形式と本式のオペラでは聴衆に訴える力は差がありすぎる。同じ土俵で比較してはいけないが、『ルル』はオペラだと言うことを忘れてはいけない。最近読んだ本で「住んでみたヨーロッパ、9勝1敗で日本の勝ち」というのがある。ドイツ在住の川口マーン恵美さんの著書で現在のヨーロッパと日本を比較した文明評論である。
 こんなことを言うと生意気に思われるかも知れないが、わたしゃこの演奏会を聴きながらこの本の題名を思い出したよ。いずれ詳しく書くつもりだよ。
 そんじゃ、明日は大事な教会コンサートがあるので今日はこのへんで・・・・


第1日目 第2日目 第3日目 第4日目 第5日目 第6日目 第7日目 第8日目