第2回クーラウ詣りツアー(4)

『ゴールデンデイズ・フェスティヴァル』(1998.9.4~20)

第二回クーラウ詣りツアー(1998年9月4日~9月22日)

トーヴァルセンホールゲネプロ風景1
トーヴァルセンホールゲネプロ風景2
手にしているのはスポンジのサイコロ

その1

その2

その3

その4

その5

その6

ツアー参加者の声


第二回クーラウ詣りツアー(その4)

 壮絶クーラウイアーナ

 カラドアクスティコンについては他の個所(クーラウ度診断)で述べているので詳述は避けるが古くからある音楽的遊戯である。曲の進行に合わせてそれぞれの小節をサイコロによって選び集計された楽譜を通して演奏するものである。これは机上で行う場合は簡単である。しかし、聴衆にこの楽譜を見せながら演奏すると言うことは大きな楽譜をステージに用意しなければならない。合宿においてもこの練習を行った。しかし、楽譜をそろえるのに時間がかかり過ぎ本番でうまくいくかは大変な課題になった。楽譜はサイコロ一回につき6種類のものを用意した。サイコロもおもちゃ屋に売られていた特大のスポンジ製のものを用意した。本番ではサイコロを振る人をブスク氏にお願いした。曲はクーラウのピアノ・ソナチネ作品20-1ハ長調、ソナチネアルバムで有名な曲、これをもとにして作られた。



 上記の楽譜がそのあらましである。フルート二重奏曲でピアノ譜は実際の演奏では用いられない。練習での経験をふまえ一小節づつ選んでいると大変な時間がかかることが分かったので4小節単位でまとめることにした。サイコロの目にあわせて4小節をパネルに貼り付けていくのである。サイコロの目を読み上げる人、その小節が書かれた楽譜を取り出す人、それをパネルに貼り付ける人、パネルを掲げる人、それぞれ綿密な役割が分担された。合宿でもうまくいかなかった。ゲネプロでも混乱を極めこれではお客様の興味を惹き付けることは難しいと一同不安に陥った。しかし、時間は迫っている。本番では運を天にまかすしかないと全員が覚悟した。

 サイコロはブスク氏の子息、ヤコブが客席の前に出てきて振ってくれた。この時もクーラウが応援してくれた。一度もうまくいかなかったことが本番で見事に成功したのである。全ての小節が貼り終わりそれを見ながらステージで全員が二声部に分かれその音楽を演奏したのである。万雷の拍手が湧き起こったことは言うまでもない。


 クリスチャンセン氏の「与えられたテーマによる即興演奏」はこれまたお客様を湧かせたものだった。ゲネプロのあと回収された紙片をシルクハットの中に入れ聴衆の前で一枚取り出し、そこに書いてあるメロディをもとに即興演奏するのである。彼が取り出したものは日本人とっておなじみの「ラーメン屋のチャルメラ」のメロディであった。これを書いて入れたのはピアニストの小埜寺美樹さんであった。クーラウ風のカデンツァに始まりそのメロディを用いて思いのまま演奏するクリスチャンセン氏は笛の魔術師のように見えた。クーラウ風メロディになったときステージの横にいた私に向かってウインクをしてきた。これも拍手喝采を受けた。その後クリスチャンセン氏の指揮により『妖精の丘』バレー音楽でこの演奏会を閉じた。何度もアンコールに呼び出され全員がステージに上がったり降りたりで大変だったが皆の顔は晴れやかだった。


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