作品番号 及び Op.127 ピアノソナタについて
クーラウの作品番号は127が最後となっています。128からはDFナンバーが付けられています。DFとはクーラウの作品を研究しテーマティック・カタログを編纂、出版したDan Fogが付けたものです。そもそもこのピアノソナタは作品16として1815年以前に作曲されたものです。では何故、作品127になったのでしょうか?
それは、以下のような事情によります。
先ずクーラウはこの作品をライプツィッヒの出版社、ペータースに売り込みました。その時の手紙が残っています。
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1815年8月19日付け(コペンハーゲン)
尊敬する貴下へ
ここに私の作品の一部を有名な出版社の貴社から出版して頂けないかというお伺いをする失礼をお許し下さい。先ずここに作品16のソナタを同封いたします。この作品の原稿料として5 Louisdorを提言いたします。願わくは高額だと思わないでください。私は間もなく演奏旅行に出ますので次の郵便に間に合うようにご返事を頂ければ大変有り難いことです。もしも、出版のご同意が叶わなければこの作品をヘルテル氏(編者注:ブライトコップ社)に転送していただきたいと思います。この件に関して又お知らせいたします。
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この作品に関して次の手紙は同じくペータース社宛で
1815年11月24日付け(コペンハーゲン)
尊敬する貴下へ
私のソナタの出版のご同意を得られなかったことは大変残念なことです。また、ヘルテル氏も同様でしたので、このソナタの手稿を次の郵便でお送りくださることをお願いいたします。
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と言う次第でこの作品は出版出来ずにクーラウの書庫に眠っていました。1831年2月5日のリュンビューの火災により失われた手稿は多いのですが、これは災難から免れた内の1つです。クーラウの死後、遺品の競売に付され出版社ローセの所有となり1833年ローセ社から出版されました。
クーラウ本人が付けた作品番号の最後のものは122の弦楽四重奏です。123から127までは遺品を買い取ったローセ社からOp.番号が付けられ出版されました。気の毒なことにクーラウは生前この出版を見ることはできませんでした。
それにしてもこのような完成度の高い作品が有名なピアノ・ソナチネ以前に書かれていることは驚きです。
(石原・記)
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