インターナショナル・フリードリヒ・クーラウ協会会長のご挨拶

IFKS President Gorm Busk
ゴーム・ブスク 会長

As president of the International Friedrich Kuhlau Society (IFKS) of which I have been elected by my friend Toshinori Ishihara from Japan who is the originator of the foundation of this society, I want to welcome you to IFKS.

The German born composer Friedrich Daniel Rudolph Kuhlau (1786-1832) who came to Denmark in 1810 where he stayed until his death is together with C.E.F. Weyse (1774-1842) the most important Danish composer in the first half of the 19the century. He is known principally for his many works for piano (especially the easy Sonatinas still popular in instruction of piano students) and flute (for 1 to 4 flutes and for flute and piano) and for his dramatic music, consisting of operas (of the Singspiel type with spoken dialogue between the music numbers) and theatre music, of which the operas Roverborgen (The Robbers' Castle) and Lulu and his theatre music for the romantic, national play Elverhojj (The Elf Hill ), his most important work, should be mentioned.

Outside Denmark he is known mostly in Germany but recently in Japan too, partly because of his flute music, partly because of the production in the spring of 2000 of his great fairytale opera Lulu, which in 2001 is planned to be performed in his native town Uelzen in North Germany and later on in Koenigsberg and St. Peterburg.

Kuhlau's music is today gaining more and more ground, and this lucky development has been the stimulus to the foundation of the International Friedrich Kuhlau Society (IFKS). Its main purpose is the propagation of the music of Kuhlau by giving concerts and by publication of some of his most important works.

Gorm Busk
1.9 2000


 インターナショナル・フリードリヒ・クーラウ協会(IFKS)の創立者である日本の友人、石原利矩氏から推挙された本協会の会長として皆様方にIFKSへ歓迎したいと思います。

 ドイツ生まれの作曲家フリードリヒ・ダニエル・ルドルフ・クーラウ (1786-1832) は1810年デンマークにやって来ました。19世紀前半の最も重要なデンマークの作曲家C.E.F.ワイセ(1774-1842)と共に彼は没するまでそこで活躍しました。彼は多くのピアノ作品(特にピアノの生徒のためのやさしいソナチネ)やフルート作品(1本から4本のフルート、フルートとピアノのための)、オペラ(ナンバーの間に対話が行われるジングシュピールの様式)や劇場作品、その中には『盗賊の城』、『ルル』、特に重要なロマン的国民的演劇『妖精の丘』で知られています。

 彼はデンマーク以外ではドイツで最も知られていますが、最近は日本でも知られることとなりました。それは彼のフルート音楽から、また2000年の春に行われた彼の大規模な妖精オペラ『ルル』によります。オペラ『ルル』は2001年、彼の生まれた町---北ドイツのユルツェン、その後ケーニヒスベルク、ペテルスブルクで演奏されることが計画されています。

 今日、クーラウの音楽が次第に根付いています。この幸運な発展にはインターナショナル・フリードリヒ・クーラウ協会(IFKS)の設立が刺激剤となりました。当協会の主要な目的は演奏会及び、その重要な作品を出版することでクーラウの音楽を広めることにあります。

ゴーム・ブスク
2000年9月1日


ゴーム・ブスク博士


 1937年生まれ。コペンハーゲン大学にて音楽とフランス語教科のギムナジウム教職課程を修了。1967年よりその仕事に従事し、1970年よりビアケロド・ギムナジウムで教え現在に至る。短期間であるがコペンハーゲン大学の音楽学科において音楽理論と音楽史の教授を務める。教諭をする傍ら音楽学の研究を続け、1968年よりフリードリヒ・クーラウについて特に興味をいだき研究を始める。クーラウの劇場音楽(オペラと劇音楽)についての論文でコペンハーゲン大学より博士号を取得する。博士論文以外にクーラウについての本(1986)、クーラウの手紙(1990)、クーラウのカノン(1996・デンマーク人の音楽学者と共著)を出版。他にクーラウと作品についての多数の論文を発表。現在石原利矩氏とクーラウウの男声合唱曲全集、オペラ『盗賊の城』ピアノスコア、オペラ『ルル』ピアノスコア、オペラ『魔法の竪琴』ピアノスコア、戯曲『ウイリアム・シェイクスピア』ピアノスコアを編纂。IFKS主催の公演、プログラムノートは氏の助言に負うところが大きい。

 注:「ゴルム」と書いた方が分かりやすのですが、デンマーク人は「ゴーム」と発音しています。なお、挨拶文中のユルツェン、ケーニヒスベルク、ペテルスブルクの『ルル』は行われておりません。2005年6月4日に東京でオペラとして世界初再演が行われました。(2010年6月:記)