クーラウ・ピアノ変奏曲全集について 全3巻          


発行:インターナショナル・フリードリヒ・クーラウ協会
校訂:ゴーム・ブスク / 石原利矩

第1巻:DF 199、196、Op.12、14、15、16、18、22、25、35、42-1、42-2、42-3、42--4、42-5、42-6
第2巻:Op.48、49-1,49-2.49-3.49-4.49-5.49-6.53-1,53-2,53-3,54
第3巻:Op.62-1、62-2,62-3,91,93,112-1,112-2,112-3,116-1,116-2、126
(注:数字にOp.またはDFが何も書かれていない場合は前掲の言葉が有効と見なす)

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 クーラウのピアノのために書かれた2手用の変奏曲は22曲 (Op.の数) があります。その内本書に採り上げていないものに、DF 197(紛失)、DF 198、DF199があり、さらに逆行カノンで書かれた変奏曲の小品DF 200があります。
 特殊なものとしOp.93のFantaisieがあります。これはイントロダクションと4つのスエーデン民謡の主題(それぞれが2つ又は3つの変奏を持つもの)をまとめて1曲にしているものです。それ故、変奏曲のカテゴリーに含むものと考えます。  
 その他ソナタの中に書かれている変奏曲の楽章があります。例えば Op.6a-3-II、Op.60-1、Op.60-2、Op.60-3などです 。 変奏曲の主題はクーラウ自身のもの(Op.6a-1-I、 Op.18)、他の作曲家のもの (Op.12、Op.16、Op.35、Op.48、Op.49、Op.53、Op.54、Op.60、Op..62、Op.112、Op116、DF.196)、民謡 (Op.14、Op.15、 Op,22、Op.25、Op.42、Op.91、Op.112)など様々です。

ソナタと変奏曲の2つのジャンルは、ロンドと同様に当時の最も一般的なピアノ音楽の形態でした。クーラウは他の作曲家達の変奏曲作品と同様に当時のオペラ(殆どがアリア)や民謡などのポピュラーなメロディーを用いて作曲しました。
 変奏曲の標準的形態は主題に2〜12(多くは7〜8)の数の変奏が続き、その長さは主題の長さに関係しています。長い主題には変奏の数は少なく、短い主題には変奏の数が多い。その中において、ある変奏は主題が長調であればその同名調に、短調であればその同名調にと言う具合に基調から変化した調性が用いられます(例えばハ長調ならハ短調、ハ短調ならハ長調)。かなり速い主題または幾分早めの主題における変奏では、ゆっくりしたテンポのもの、そして最後に終結の長い変奏が現れます。この変奏では主題を新しい拍子に、すなわち偶数拍子(例えば2/4拍子)の主題を奇数拍子(例えば3/4拍子)に、逆も又同様に扱うもの。また引き延ばした、自由な構造、ときには長い技巧的な終結において更にもう一つの変奏(しばしば不完全なもので楽譜には特に変奏曲とは書かれていない)が現れるものがあります。その際、より一層叙情的に、主題のテンポを緩めてぼかしたものにしたり、元の主題を幾分変形したもので締め括るものがあります。
 長い終曲の変奏に対して、主題と関係が無くその規模と自由な動きで、一連の変奏を導く「イントロダクション」があります。通常は力強い和音や技巧的なパッセージで鍵盤を駆け巡り、主題の変奏やその断片が続きます。1800年頃におけるこのようなイントロダクションの後に変奏を導くことは、新しいロマン派的特徴と言えましょう。


第1巻:菊倍版/168ページ ISBN978-4-9907675-0-1 定価:2,500円 +消費税250円
第2巻:菊倍版/172ページ ISBN978-4-9907675-1-8 定価:2,500円 +消費税250円
第3巻:菊倍版/128ページ ISBN978-4-9907675-2-5 定価:2,500円 +消費税250円