クーラウ・ピアノソナチネとやさしいソナタ曲集について 第5巻 


発行:インターナショナル・フリードリヒ・クーラウ協会
校訂:ゴーム・ブスク / 石原利矩

第5巻:Op.20 (3)、Op.55 (6)、Op59 (3)、Op.60 (3)、Op.88 (4)

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 この巻はソナタ曲集全4巻に含まれないソナチネとやさしいソナタを集めました。その結果ピアノソナタとソナチネを全て網羅することとなりました。従って1〜4巻のソナタ集に続くものとして「第5巻」と致しました。
クーラウのソナチネというのは世の中の「ソナチネ・アルバム」第1巻、第2巻に掲載されているものを指します。
「ソナチネ・アルバム」に収録されているものは作品20、作品55,作品88の3作品です。作品20 (3曲)と作品55 (6曲)は全曲ですが作品88は4曲中2曲のみで後の最後の2曲は掲載されおりません。本書には全て掲載しています。

Op. 作品名 調性 Sonatine Album
3つのソナチネ集   Album I Album II
20-1 SONATINE C  
20-2 SONATINE G  
20-3 SONATINE F  
55-1 SONATINE C  
55-2 SONATINE G  
55-3 SONATINE C  
55-4 SONATINE F  
55-5 SONATINE D  
55-6 SONATINE C  
88-1 SONATINE C  
88-2 SONATINE G  
88-3 SONATINE a   ×
88-4 SONATINE F   ×
:掲載曲、×:不掲載曲


 1815〜19年はクーラウのソナタ作品の転換期となりました。変ホ長調のソナタ、作品16/127の出版を多くの出版社から断られた失意から、自らの状況を考えるために長い時間が費やされました。1819年10月15日に彼が再びヘルテルに送ったソナタは全く様式が変わったものでした。これが出版社の要望によるものか、変ホ長調のソナタの時に言及していたように自らの意志で小さい作品を書いたのか、この両者が時間をおくことで彼の音楽的気質に合うようになったのかは議論の余地があるところです。しかし、様式を変えたこと、すなわち小規模作品を続けたことは彼の名前を確実にし、それが幸いだったのかどうかは議論の余地があります。一方、常に小規模の作品に規定されることは彼にとって簡単なことではありませんでした。最初の何年間は殆ど一定の長さの曲となり、最後の曲集は殆どが出版社の要求による教材用の小規模作品となりました。
 初期の作品が大規模で後期になると小規模になる作曲家は音楽史ではめずらしいことです。1巻〜4巻で19曲、第5巻1冊で同じく19曲とはクーラウのピアノソナタ製作の状況を良く表しています。


第5巻:菊倍版/180ページ ISBN978-4-9907675-6-3 定価:2,500円 +消費税250円