クーラウ・ピアノソナタ全集について 全4巻


発行:インターナショナル・フリードリヒ・クーラウ協会
発売:株式会社ハンナ
校訂:ゴーム・ブスク / 石原利矩

第1巻:Op.6a-1、Op.6a-2、Op.6a-3、Op.4
第2巻:Op.5a、Op.6b、Op.8a、Op.127
第3巻:Op.26-1、Op.26-2、Op.26-3、Op.30
第4巻:Op.34、Op.46-1、Op.46-2、Op.46-3、Op.52-1、Op.52-2、Op.52-3

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没後180年を記念して
世界に先駆けてクーラウ「ピアノ・ソナタ曲集」全4巻発刊
《知られざる有名な作曲家》
 一見矛盾した言葉ですが、クーラウにはこの表現がよく当てはまります。有名と言ってもこれは「ピアニスト、フルーティストにとって」と限定が付きます。ピアニストにとっては初心者が最初に出会うソナチネ・アルバムの第1ページにクーラウが登場するからです。しかし、その後のソナタ・アルバムには彼の名前は見えません。このソナチネによってクーラウは音楽史に名前を残しました。フルーティストにとって有名とはクーラウにはフルートのための作品が沢山ありその殆どは出版されているからです。
 クーラウ伝記作家のヨーアン・エーリクセン著『コペンハーゲンのドイツ人作曲家』(2011年出版)の中で彼は《「クーラウを『ピアノ・ソナチネ』の作曲家だ」と言うのは「べートーヴェンを『エリーゼのため』の作曲家だ」と言うようなものだ」》と言っています。
 クーラウは38曲のピアノソナタ(ソナチネを含む)を書いています。そもそもクーラウ自身はソナチネという言葉を使っていません。本人は大きいソナタ(grosse Sonate) 、小さいソナタ(kleine Sonata)と表現しています。Sonatineは出版社の命名です。
 本曲集 (I〜IV) に収録されているソナタは全ソナタのちょうど半分の19曲です。これらは初版以来絶版となっているもの、19世紀に現れた平行出版以来再版されていないものです。本曲集では作曲年代順に編集しています。
 クーラウは古典派から初期ロマン派に移行する時代の作曲家です。モーツァルト、べートーヴェンの影響を強く受けていることは明らかですが、ショパンを先取りするようなフレーズもあります。フィールドのノクターンのような楽章、左手だけの楽章(楽章全体に現れるものとしては音楽史上初めてのことです)もあります。クーラウは当時の大作曲家たちの影響を受けていますがそれは彼自身の様式を損なうものではありません。全てのソナタに言えることですが高い音楽性と強い個性を持っています。
 運、不運により淘汰されたものは歴史上数多くあります。クーラウのピアノソナタは不運により淘汰されたものです。今、クーラウのピアノ・ソナタはこの出版により甦りました。
ピアニストのレパートリーに取り上げられることを期待して・・・


第1巻:菊倍版/128ページ ISBN948-4-88364-330-1 定価:3,000円 +消費税300円
第2巻:菊倍版/124ページ ISBN948-4-88364-330-8 定価:3,000円 +消費税300円
第3巻:菊倍版/128ページ ISBN948-4-88364-332-5 定価:3,000円 +消費税300円
第4巻:菊倍版/136ページ ISBN948-4-88364-333-2 定価:3,000円 +消費税300円