無名塾『ウイリアム・シェイクスピア』 公演終わる 

 無名塾公演『ウイリアム・シェイクスピア』が終わりました。全日、殆ど満席の状況で、無名塾の俳優の皆さんの熱演の陰でクーラウの音楽が活躍しました。開演前の30分の間にファンファーレ(32秒)、ピアノ曲(変奏曲の中から抜粋)20分、「シェイクスピア」序曲10分が流れ、それが終わると(開演の時間に合わせて)本戯曲に入って行く設定でした。(オーケストラの音楽はMAX鷹野氏の演奏)。この開幕30分の前の音楽の間に、登場する役者の事前準備体操や剣劇の手合わせやシナリオを読んでいる姿を三々五々お客様に見せるという変わった演出でした。クーラウ・フェスティバル(2010年10月)の際は朗読劇仕立てでしたが、今回はドラマを主にして音楽は従の立場になりました。そのためオリジナルのオーケストラ、コーラスは電子音で行いました。いくつかの曲は「シェイクスピア」オリジナル以外の曲と入れ替えると言うことも行いました。例えば、結婚式の行進は『ルル』の中の陽気な結婚式の音楽、劇中の「マクベス」のパントマイムのシーンは『ルル』の嵐の場面、『妖精の丘』のファンファーレ、シェイクスピア序曲からモチーフをアレンジしたものなどいろいろな音楽が混ざり合い、「マクベス」のあらすじを描く場面の壮大な音楽となりました。これはオリジナルの静かな音楽から全く想像もできないくらいに変わったものでした。
 情景に合わせて用意した音楽も演出者の考えと相違した結果、取り上げられなかったものも沢山あります。例えば一番下の「カーテンコール」に付けた音楽もその一つです。しかし、これは千秋楽の終演後のお客様退場の際に1度だけ流れました。音響さんの計らいでした。それではオリジナルの結婚行進曲はどうなったかと言えば、開演の前奏曲(5分)の中にしっかりと組み込まれたり、「マクベス」のシーンで姿を変え現れたりと様々な工夫が行われたのです。
 この公演によってクーラウの名前がお客様に知られたことは、クーラウ協会にとって大変喜ばしいことでした。クーラウの演奏会ではよく雨になるのですが、そんなときは「クーラウのうれし涙」だと協会では言っています。今回は天候に恵まれ雨に遭わずにすみました。このように原曲を変えてしまったことに、いささかの後ろめたさはありますが、うれし涙を流さなかったけれど、きっとクーラウも喜んでいることと勝手に思っています。

2013.5.25(記・石原利矩)

開場直後のファンファーレ
ピアノ曲が流れる中での俳優の準備運動 (1)
ピアノ曲が流れる中での俳優の準備運動 (2)
序曲が流れる中での俳優の準備運動 (3)
森をさまようシェイクスピア
演劇仲間の訪問
ティタニアとアルフ
アンナとシェイクスピア
密猟嫌疑
角笛
危機を救ったティタニア
弟ギルバートの叱責
友人バービッジの戯曲『マクベス』の称賛
織物職人の宣言
織物職人親方審査風景
密談
ワインの力?
職人認可の演説口調の挨拶
審査に受かり結婚の許しが出て踊って喜ぶシェイクスピア
結婚の喜び・神への感謝
結婚式の行進
領主と家来アラン
まんまと罠にかかったぞ!
偽りの約束「告訴の放棄 」
兄さん、逃げるんだ!
幻影「マクベス・三人の魔女---いつまた三人会うことに?」
幻影「マクベス・ダンカン王---おおマクベス、立派な身内を持って嬉しいぞ」
幻影「マクベス・三人の魔女---三度啼いたぞ、ぶちねこが---」
幻影「マクベス・夫人の狂乱---消えておしまい、忌まわしいしみ!消えろと言うのに!」
幻影「マクベス・幻影の声---女が生んだものなどにマクベスを倒す力はない」
幻影「マクベス・マグダフの剣に滅ぶ」
終曲「シェイクスピア、万歳!」
カーテンコール
クイズ:上記の曲の中にモーツァルトのテーマによる作品が入っています。お分かりでしょうか?

無名塾『ウイリアム・シェイクスピア』公演

日程:東京公演:2013年5月18日~5月25

ステージ数:10ステージ
場所:吉祥寺シアター
チケット料金:一般4800円(全席指定)、学割3500
一般前売開始:2013年3月18日(月)

作品名:「ウィリアム・シェイクスピア」

作:カスパー・ヨハネス・ボイエ
音楽:フリードリヒ・クーラウ

翻訳:福井信子
脚色・演出:杉本凌士
出演:松崎謙二、中山研、本郷弦、川村進、江間直子、樋口泰子、 円地晶子、井手麻渡、別所晋、吉田道広、鷹野梨恵子、 平田康之、仲田育史、加藤裕人

登場人物
ウィリアム・シェイクスピア・・・・・・松崎謙二
アンナ・・・・・・・・・・・・・・・・鷹野梨恵子(塾生)
ジョン・シェイクスピア・・・・・・・・平田康之(客演)
リチャード・ハザウェイ・・・・・・・・中山研
ギルバート・シェイクスピア・・・・・・別所晋(塾生)
バービッジ(ウィリアムの友人 役者)・・本郷弦
グリーン(ウィリアムの友人 役者)・・・井手麻渡
プラトリング(織物職人の親方)・・・・・加藤裕人(客演)
シンシア(織物職人の親方)・・・・・・・本郷弦
ソーバリ(織物職人の親方)・・・・・・・樋口泰子
徒弟1・・・・・・・・・・・・・・・・加藤裕人
徒弟2・・・・・・・・・・・・・・・・井手麻渡
トーマス・ルーシー・チャースロト・・・川村進
アラン・・・・・・・・・・・・・・・・仲田育史(客演)
アルフ・・・・・・・・・・・・・・・・円地晶子
オベロン・・・・・・・・・・・・・・・吉田道広(塾生)
ティタニア・・・・・・・・・・・・・・江間直子

STAFF
舞台美術:角浜 有香
照明:三澤 裕史
音響:山岸 和郎
衣裳:渡辺 まり
振付:山崎 涼子
擬闘:森岡 隆見
舞台監督:金安 凌平
制作:須賀 力
協力:インターナショナル・フリードリヒ・クーラウ協会、株式会社仕事
音楽監修:石原 利矩
編曲、演奏:鷹野 雅史

共催:公益財団法人、武蔵野文化事業団
製作:無名塾


「ウィリアム・シェイクスピア」の日程
5/18(土)16時~、
5/19(日)14時~、
5/20(月)14時~
5/21(火)14時~、19時半~、
5/22(水)14時~、
5/23(木)14時~、
5/24(金)14時~、19時半、
5/25(土)14時
以上10ステージ
場所:吉祥寺シアター、料金:4800円(学割3500円)