IFKS協力の演奏会(1) カライドアクスティコン本邦初演

福島市音楽堂大ホール

 

春爛漫! みんな元気!フルート音楽会
福島災害復興支援コンサート
2017 年4 月15 日(土)14:00 開演
福島市音楽堂大ホール
協力 インターナショナル・フリードリヒ・クーラウ協会
協賛  JA 共済連福島  
後援 福島市教育委員会、福島民報社、福島民友新聞社
13:30より15分間の福島フルートインスティテュートのメンバーによるプレ・コンサート

正に春爛漫の福島市の演奏会となりました。満開の桜が市内のいたる所で咲いていました。会場には開場を待つお客様が早くから詰めかけました。駐車場に入れない車が多く開演を少し遅らせての開演となりました。2時間を超す演奏会でしたが曲毎の拍手から皆様に楽しんでもらえたと思われます。終わった後のアンケートの回収率は非常に高く驚きました。追ってお知らせ致します。

以下はプログラム冊子からの引用したものです。

ごあいさつ
 本日は「春爛漫!みんな元気!フルート音楽会」にご来場いただき、誠に ありがとうございます。
 震災から6 年1 ヶ月、美しくて温かい福島の復興を心から願い、音楽で皆 様に元気を届けよう!との思いから、本日のコンサートを企画いたしました。
春爛漫のこの季節に、福島の皆様とともに復興への希望を感じるひとときを 過ごすことができましたら大変嬉しく思います。
 本日のプログラムは、フルート5本とピアノという編成を中心に、名曲の 新たな編曲に取り組み演奏いたします。
 私たちインターナショナル・フリードリヒ・クーラウ協会は、デンマーク の作曲家、フリードリヒ・クーラウの 作品を国際的に再認識してもらうこと を主な目的として活動している研究団体です。クーラウは、多くの優れたフ ルート作品を残し、フルートのベートーヴェンとも称されています。本日も いくつかのクーラウ作品を演奏いたします。ご興味のある方は、是非、ホー ムページ(http://www.kuhlau.gr.jp/) をご覧ください。
 それでは、私たちのアンサンブルをどうぞ最後までごゆっくりお楽しみく ださい。
 最後になりましたが、今回の公演開催にあたりご支援ご協力をいただきま した皆様に、心より感謝申し上げますとともに、今後も変わらぬご指導ご鞭 撻を賜りますようお願い申し上げ、ごあいさつとさせていただきます。
 心からの感謝と復興への祈りをこめて
インターナショナル・フリードリヒ・クーラウ協会理事長 石原 利矩
本演奏会を開く会実行委員長 小野 宏子

プログラム
1. モーツァルト作曲『フィガロの結婚』の主題によるロンド 
クーラウ作曲 作品56-1 編曲:石原利矩
( Fl.I 石原、II 小野、III 河野、IV 塩澤、V 米山、Pf. 齋藤)
2. 四季より「春」 
ヴィヴァルディ作曲 編曲:Bruce Behnke - 石原利矩 
(Fl. I 米山、II 石原、III 塩澤、IV 河野、V 小野)
3. パガニーニ作曲「鐘」の主題によるロンド 
クーラウ作曲 作品121
 (Pf. 齋藤)
4.パッヘルベル作曲 カノン
編曲:Chris Wolker
(Fl.I 河野、II 米山、III 小野、Alto 石原、Bass 塩澤)
5. 花のワルツ 
ケーラー作曲 作品87 編曲:石原利矩
 (Fl.I 塩澤、II 河野、III 米山、IV 小野、Pf. 齋藤)
〜 休憩 ( 20 分)  〜
6. ホルベルクの時代より 作品40
グリーク作曲 作品40 編曲:Doris Geller
 (Fl.I 小野、II 塩澤、III 河野、IV 石原、Alto 米山)
7. 瀧 廉太郎作曲 「花」
 編曲:山下 康介
(Fl.I 小野、II 石原、Pf. 齋藤)
8. カライドアクスティコン
 クーラウ作曲
 (解説:石原、Pf. 齋藤)
9. 日本民謡メドレー
編曲:杉浦邦宏- 石原利矩( 福島ヴァージョン)
(Picc. & Fl.I 河野、Fl. & Picc.II 石原、III 米山、IV 塩澤、V 小野、Pf. 齋藤)
フルート 石原 利矩・小野 宏子・河野 洋子・塩澤 直緒・米山 典子
ピアノ  齋藤 亜都沙


 プログラム・ノート 
石原 利矩   

1. クーラウ作曲 モーツァルト作曲『フィガロの結婚』の主題によるロンド 作品56-1 
ドイツ生まれのデンマークで活躍したフリードリヒ・クーラウ(1786-1832)はピアノのソナチネで有
名です。しかし、そのピアノソナチネは彼の全てのピアノ曲から見れば氷山の一角です。ソナタ、変奏曲、 ロンドなど素晴らしい多数の作品がソナチネの陰に隠されています。この曲のオリジナルはピアノのた
めのロンドです(1823 年出版)。主題はモーツァルトのオペラ『フィガロの結婚』から第1 幕のフィガ
ロとスザンナの二重唱「もしも偶然、奥様方が」から採られています。これをフルート五重奏とピアノ
に編曲した形でお聴き下さい。

2. ヴィヴァルディ作曲 四季より「春」
ヴィヴァルディ(1678 〜1741)の四季は春夏秋冬の4 つの部分に分かれた弦楽合奏のための作品です。
元々はヴァイオリン協奏曲として書かれたものでそれぞれの季節は3 つの楽章を持っています。今日の
「春」は次のような説明が付いています。
第1 楽章 アレグロ:春がやってきた、小鳥は喜び囀りながら祝っている。小川のせせらぎ、風が優し
く撫でる。春を告げる雷が轟音を立て黒い雲が空を覆う、そして嵐は去り小鳥は素晴らしい声で歌う。
第2 楽章 ラルゴ:牧草地に花は咲き乱れ、空に伸びた枝の茂った葉は音を立てる。羊飼は眠り、忠実
な猟犬は(私の)そばにいる。
第3 楽章 アレグロ(田舎のダンス):陽気なバグパイプにニンフと羊飼いが明るい春の空の下で踊る。

3. クーラウ作曲 パガニーニ作曲「鐘」の主題によるロンド 作品121
パガニーニの「鐘」の主題は彼のヴァイオリン協奏曲第2 番の第3 楽章の「鐘のロンド」に出てきま
す。このメロディをリストが用いて技巧的なピアノ曲「ラ・カンパネラ」を作曲しました(1831 年か
ら1832 年にかけて作曲され、1834 年に出版)。殆ど同じ時期にクーラウもこのメロディを用いてロン
ドを作曲したのです(1832 年出版)。リストの作品の陰に隠れていますが、別のヴァージョンとしてお
聴きいただくのも一興です。クーラウの晩年の作品です。曲はイントロダクションとロンドの二つの部
分から構成されています。

4. パッヘルベル作曲 カノン
ドイツの作曲家パッヘルベル(1653 〜1706)の「3 つのヴァイオリンと通奏低音のためのカノンとジー
グ ニ長調」の第1 曲。この曲でパッヘルベルは有名となっています。最初の2 小節で通奏低音のメロディ
が現れ次に第1 番の声部がカノンのメロディを演奏し、第2 番、第3 番がそれぞれ2 小節後に追いかけ
るカノンの形式をとっています。通奏低音は最初の2 小節を延々と最後まで繰り返します。本来はジー
グが付いて1 曲となるものですが今日はカノンだけを演奏します。

5. ケーラー作曲 花のワルツ 作品87
エルネスト・ケーラー(1845 〜1907)はフルーティストにとってはそのエチュードによって忘れられ
ない名前です。イタリア生まれのフルーティスト及び作曲家で後半生はペテルスブルクのオペラ劇場で
フルーティストとして活躍しました。作品はフルートとピアノ曲が殆どですが愛らしい小品を沢山残し
ています。「花のワルツ」はフルート2 本とピアノが原曲ですが、今日はフルート4 本にしてより一層華々
しく演奏致します。

6. グリーク作曲 ホルベルクの時代より 作品40
ノルウェーの作曲家エドヴァルド・グリーク(1843 〜1907)の「ホルベルク組曲」とも呼ばれるこの
曲はオリジナルのピアノ曲(1884 年)から本人が弦楽合奏に編曲したものです(1885 年)。ホルベル
ク(1684 〜1754)は「デンマーク文学の父」とも「北欧のモリエール」とも呼ばれるノルウェー生ま
れの文豪です。曲の命名はグリークの生まれたベルゲンでホルベルクの生誕200 年の記念祭のために作
曲したことと、ホルベルクの時代の音楽様式、「組曲」で構成されているからです。
第1 曲:前奏曲 Allegro vivace ト長調
バロックの組曲のスタイルに倣ったため、前奏曲が置かれています。
第2 曲:サラバンド Andante espressivo ト長調
三部形式。前奏曲とは対照的に穏やかな舞曲です。
第3 曲:ガヴォットとミュゼット Allegretto-Poco più mosso ト長調→ハ長調→ト長調
フランスの2 つの舞曲のスタイルを組み合わせています。またミュゼットならではのバグパイプ独特の
ドローン音が表現されています。
第4 曲:アリア Andante religioso ト短調
三部形式。
第5 曲:リゴードン Allegro con brio ト長調→ト短調→ト長調
三部形式。前の曲とは対照的に、バロック的な明るい舞曲です。

7. 瀧 廉太郎作曲 「花」 「春のうららの〜」で誰もが口ずさむこの曲をフルート2 本とピアノの編曲
でお聴きいただきます。

8. カライドアクスティコン クーラウ作曲(1817 年頃)
偶然性の音楽遊びです。これは複数のカードをさいころを振って選び出し繋げて音楽を作るものです。
今日は皆様のご協力を得てワルツを1 曲を仕上げたいと思います。カードはプログラムの楽譜をご覧下
さい。
解説は口頭でいたします。

9. 日本民謡メドレー
 フルート合奏とピアノのためのこの曲はそもそも静岡市清水区のフルート・サークルのために杉浦邦
宏氏に委嘱した作品です。日本各地の民謡が取り入れられていますが、今回は福島民謡をその中に組み
込んで新たに編曲致しました。そのため群馬と静岡の方には申し訳ありませんでしたが草津節とちゃっ
きり節が削除されました。
1、会津磐梯山 福島
2、そ- らん節 北海道
3、津軽じょんがら節 青森
4、相馬盆踊歌 福島
5、こきりこ節 富山
6、安里屋(あさどうや)ユンタ 沖縄
7、斉太郎(さいたら)節 宮城
8、八木節 群馬 
9、会津磐梯山 福島_


プログラムの8番目にカライドアクスティコンが石原解説で紹介されました。
当日のカライドアクスティコンがどのように演奏されたかはこのページをご覧下さい。<<クリック>>

会津磐梯山(4/16花見山から撮影)