コメント：この曲はクーラウの「カライドアクスティコン」というものです。「万華響」と訳したら良いでしょうか。これは一種の音楽遊びです。この大譜表（ピアノ譜）の各小節には、はめ込むべきそれぞれ2～12まで番号の付いたカードが11種類用意されています。何故11種類かというとサイコロ2個を用いてこのカードを選ぶのですから1が無いのは当然ですね。まず、第1小節目（この小節はアウフタクトと一緒に書かれています）を選ぶためにサイコロ2個を振ります。出た目の合計数に当たるカードを11枚の中から選び置きます。次に第2小節目を選ぶためにサイコロを振り、その合計数のカードを第2小節目のために用意された11種類の中から選び置きます。こうして順繰りに選ばれた小節を並べて最後まで完成させるのです。21小節分のカードがそれぞれ11枚あります。この組み合わせの可能性は11の21乗です。7400249944258160101211という天文学的数字です。この曲の全曲演奏を試みたら一生を費やしても終わらないでしょう。このような音楽遊びは古くから行われているもので決してクーラウが創始者ではありませんがカード式に作りこれを販売したのは彼が初めてです。1820年のデンマークの新聞にこの作品の広告が出ています。ブスク会長が21回サイコロを振って完成させたこの曲はその中の一曲と云うわけです。