クーラウの自筆譜Op.84、新たに判明

クーラウのピアノ曲、「オペラのメロディによる3曲のロンド、作品84」の内、作品84-2(全)と作品84-3の最初の3ページがデンマーク王立図書館に所蔵されていることが新たに判明致しました。。
この秋、IFKSでは「クーラウ・ロンドとピアノ小品集」全3巻の出版を予定しています。この作品84は第2巻に掲載予定です。注解を執筆のブスク氏が図書館に問い合わせて、この自筆譜があることがわかりました。今まで明らかにされなかったことが不思議です。勿論、Dan Fogのカタログにも記載されていません。クーラウの自筆譜は現存しているものが非常に少なくこの発見?は大変貴重なことです。

作品84には次の3曲が含まれます。
3 Rondos on Opera Melodies, op. 84-1〜3
1)Boieldieu: La dame blanche on a Scottish national Song "Chantez, chantez"
2)Boieldieu: La dame blanche on the Romance "Pauvre Dame Marguerite"
3)Auber: Le maçon, on the Romance "Bon ouvrier"

しかし、残念なことには所蔵されている自筆譜は全曲ではありません。3曲中の2番は全曲、3番は最初の3ページだけです。

3曲の初版はデンマークの出版社、C.C. Loseです。作曲:1827年、出版:1827年

初版と自筆譜を比べてみると初版にわずかな印刷ミスがあることがわかります。しかし、かなりの精度で銅版を作製していることがわかります。

今世紀になって発見された自筆譜は作品109「3 Rondos für Klavier」、作品102-2「Duo für 2 Flöten」のパート譜、及び作品81-1「Duo für 2 Flöten」のパート譜があります。これは2013年、アンネ・プストラウクさんがオーストリア国立図書館で見つけたものです。
このようなことを考えると、まだ眠っている自筆譜がどこかにあるかも知れません。ピアノ・コンチェルト第2番がひょっこりどこかで見つけられたら、これは一大センセーションです。



Op. 84-2
Op. 84-3

 

なお、最初のページのタイトルに関して興味深いのはOp. 84-2はオペラの名前が書かれているのに、Op. 84-3は波線です。
Op. 84-2 Rondo over et Thema af Operaen "Den hvide Dame" オペラ『白衣の貴婦人』の主題によるロンド
Op. 84-3 Rondo over et Thema af Operaen 〜〜〜〜 オペラ『〜〜〜〜』の主題によるロンド

これは作曲時にクーラウがこのオペラの名前を思い出さなかったか、知らなかったかのどちらかです。
ボワエルデユー:『白衣の貴婦人』1826年10月30日、コペンハーゲン初演
オーベール:『石工』1827年9月?日、コペンハーゲン(Muurmesteren)「左官の親方」と題して初演

作曲年から類推してクーラウは両者のオペラをすでに聴いていると思われます。クーラウが主題を選ぶ場合、原曲の楽譜が手元にあったのかどうかはっきりしていません。耳コピーということも考えられます。もし そうであれば、クーラウの音感がどのようなものであったかが推量されます。
(石原・記)


Updated 2016.7.